色々ごちゃまぜです。
NL、BL問わずに書かれることもありますので、閲覧し際しましてはご注意ください。
とりあえず、気になったことを気ままに書いております。
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完全に落とされたと思います。
はい。
はい。
白石×静
「綺麗…」
天球にちりばめられた無数の星たちに、私は知らず知らずのうちに感嘆の声を上げていた。
「そやろ? ええとこやろ」
隣にいた蔵ノ介さんが、得意げにそう言う。
新しくできたというこのプラネタリウムは、休日だというのに静かだ。
まわりは暗くてよく見えないけれど、たぶんそんなに人も多くない。
作り物とは分かっていても、真っ暗な幕いっぱいに広がる無数の光は幻想的で、今まさに自分が夜空の下に立っている気になる。
こんなにいっぱいの星を見るのは、初めてだ。
アナウンスの優しげな声が、春の星座から夏の星座に移る。
「天球の南北にかかる、あの白っぽく靄がかかっているような部分が天の川です」
あ…。
私はふと、七夕にまつわるお話を思い出した。
ちょうどアナウンスも、その星についてに及んだ。
「こと座のベガは織姫、ワシ座のアルタイルは彦星として知られています」
ちょうど天の川に隔てられるような位置にいる2つの星は、年に1度しか会うことができない。
急に、胸が締め付けられるように苦しくなった。
「何や、まるで俺らみたいやな」
周りに聞こえないように、いきなり蔵ノ介さんがそう囁いた。
「えっ…?」
「知っとったか? 織姫と彦星な。お互い大好きすぎてな、毎日いちゃつき過ぎで、離されてしもうたんやて」
聞いたことがある。
織姫も彦星も、元は働き者だったけれど、夫婦になった後は仕事を忘れて2人で遊び暮らしてしまった。
それが原因で、2人は離れ離れになってしまったのだ。
「俺らもそうちゃうか?」
「え?」
「せやから、俺らが遠距離恋愛なんも、天の神様が『今はちゃんと勉強せえ』ゆうとるんやないか?」
蔵ノ介さんは、真っ暗なのを良いことに、いきなりキスしてきた。
「くっ、蔵ノ介さん…!!」
「しっ、静かに。ほらな、俺、自分が横におったら我慢できへんわ」
そういって、もう1回。
今度はさっきよりも長かった。
暗くても、目の前の蔵ノ介さんの表情は分かる。
私をからかうような様子はなくて、私を凝視する目は強い光を湛えていた。
「毎日会えへんことで、静に寂しい思いをさしてることは分かっとる。せやけど、もうしばらく待っとってな。絶対迎えに行くから」
そう言って、優しく微笑んで、また口付けて。
「…もしかして、ここに連れてきてくださったのも」
「ま、暗いところやったら、普段言えへんことも言えるしな」
やれないこともやれるし、と言ってさらにもう1回。
「蔵ノ介さんたら、もうっ…!」
「普段なら人前でキスできへんからな」
その時、ちょうどアナウンスが終了を告げた。
周りがだんだんと明るくなっていく。
「おっと」
それと同時に蔵ノ介さんが背筋を伸ばした。
その顔を見て。
あれっと思った。
「蔵ノ介さん、あの…」
「…それ以上ゆうたらアカン、静。何も見なかったことにしいや」
真っ赤な顔の蔵ノ介さんは、間の悪そうな照れ笑いを浮かべながら、私に手を差し出した。
「けどな、さっき言うたことはホンマや。それは忘れんといてな」
「…はい」
私はその手を取る。
「じゃ、まあ、行こか」
「はい」
力強く握り返されて、少し引っ張られるような勢いで蔵ノ介さんの後に従う。
ぐいぐい引っ張って行くのは照れ隠しなのかな。
何だか、凄く嬉しい。
いつの間にか寂しい気持ちが失せていた。
「ふふっ」
困ってしまうくらいに、ニヤついてしまう。
嬉しすぎて。
「大好きです、蔵ノ介さん」
そんな言葉でしかこの気持ちを表せなかったけれど。
言葉にしたくて仕方なかったその一言は、ずっとずっと蔵ノ介さんとの絆を深めてくれる。
だから、これからも、何度でも言おう。
きっと同じように顔を赤くしながら、こみあげる笑みを張りつけたまま、私は蔵ノ介さんにまた、同じ言葉を送った。
「綺麗…」
天球にちりばめられた無数の星たちに、私は知らず知らずのうちに感嘆の声を上げていた。
「そやろ? ええとこやろ」
隣にいた蔵ノ介さんが、得意げにそう言う。
新しくできたというこのプラネタリウムは、休日だというのに静かだ。
まわりは暗くてよく見えないけれど、たぶんそんなに人も多くない。
作り物とは分かっていても、真っ暗な幕いっぱいに広がる無数の光は幻想的で、今まさに自分が夜空の下に立っている気になる。
こんなにいっぱいの星を見るのは、初めてだ。
アナウンスの優しげな声が、春の星座から夏の星座に移る。
「天球の南北にかかる、あの白っぽく靄がかかっているような部分が天の川です」
あ…。
私はふと、七夕にまつわるお話を思い出した。
ちょうどアナウンスも、その星についてに及んだ。
「こと座のベガは織姫、ワシ座のアルタイルは彦星として知られています」
ちょうど天の川に隔てられるような位置にいる2つの星は、年に1度しか会うことができない。
急に、胸が締め付けられるように苦しくなった。
「何や、まるで俺らみたいやな」
周りに聞こえないように、いきなり蔵ノ介さんがそう囁いた。
「えっ…?」
「知っとったか? 織姫と彦星な。お互い大好きすぎてな、毎日いちゃつき過ぎで、離されてしもうたんやて」
聞いたことがある。
織姫も彦星も、元は働き者だったけれど、夫婦になった後は仕事を忘れて2人で遊び暮らしてしまった。
それが原因で、2人は離れ離れになってしまったのだ。
「俺らもそうちゃうか?」
「え?」
「せやから、俺らが遠距離恋愛なんも、天の神様が『今はちゃんと勉強せえ』ゆうとるんやないか?」
蔵ノ介さんは、真っ暗なのを良いことに、いきなりキスしてきた。
「くっ、蔵ノ介さん…!!」
「しっ、静かに。ほらな、俺、自分が横におったら我慢できへんわ」
そういって、もう1回。
今度はさっきよりも長かった。
暗くても、目の前の蔵ノ介さんの表情は分かる。
私をからかうような様子はなくて、私を凝視する目は強い光を湛えていた。
「毎日会えへんことで、静に寂しい思いをさしてることは分かっとる。せやけど、もうしばらく待っとってな。絶対迎えに行くから」
そう言って、優しく微笑んで、また口付けて。
「…もしかして、ここに連れてきてくださったのも」
「ま、暗いところやったら、普段言えへんことも言えるしな」
やれないこともやれるし、と言ってさらにもう1回。
「蔵ノ介さんたら、もうっ…!」
「普段なら人前でキスできへんからな」
その時、ちょうどアナウンスが終了を告げた。
周りがだんだんと明るくなっていく。
「おっと」
それと同時に蔵ノ介さんが背筋を伸ばした。
その顔を見て。
あれっと思った。
「蔵ノ介さん、あの…」
「…それ以上ゆうたらアカン、静。何も見なかったことにしいや」
真っ赤な顔の蔵ノ介さんは、間の悪そうな照れ笑いを浮かべながら、私に手を差し出した。
「けどな、さっき言うたことはホンマや。それは忘れんといてな」
「…はい」
私はその手を取る。
「じゃ、まあ、行こか」
「はい」
力強く握り返されて、少し引っ張られるような勢いで蔵ノ介さんの後に従う。
ぐいぐい引っ張って行くのは照れ隠しなのかな。
何だか、凄く嬉しい。
いつの間にか寂しい気持ちが失せていた。
「ふふっ」
困ってしまうくらいに、ニヤついてしまう。
嬉しすぎて。
「大好きです、蔵ノ介さん」
そんな言葉でしかこの気持ちを表せなかったけれど。
言葉にしたくて仕方なかったその一言は、ずっとずっと蔵ノ介さんとの絆を深めてくれる。
だから、これからも、何度でも言おう。
きっと同じように顔を赤くしながら、こみあげる笑みを張りつけたまま、私は蔵ノ介さんにまた、同じ言葉を送った。
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