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色々ごちゃまぜです。 NL、BL問わずに書かれることもありますので、閲覧し際しましてはご注意ください。 とりあえず、気になったことを気ままに書いております。
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というわけで、5日遅れですが、ラグナ誕生日SSを続きに載せました!
しかも、まさかのラグナ×レイチェル。
姫様との話が思い浮かんでしまったので!
レイチェルは、何だかんだでラグナのこと大切に思っているんだなあと思えるところが良いですv
苦手な方はすみません><
大丈夫な方は、以下からどうぞ!

ラグナ誕生日SS



「ちょっと、そこのお馬鹿さん」


 今日はろくなことがなかった。
 午前中は、咎追いどもの猛追跡をかわし。
 昼食は、奇妙な猫に半分以上横取りされ。
 午後は、蒼の魔道書を狙う輩の襲撃に合い。


 さすがのラグナも精根尽き果てていた。
 だから、背後から聞こえた声が、空耳であったら良いと思ったのだが。


「聞こえていないの? 頭ばかりではなく耳まで悪くなったのかしら。哀れすぎて目障りだわ」

「ウサギ、テメェ…」


 降り掛かる嫌味にうんざりしながら、ラグナはため息を吐いた。
 振り返った先には、夕焼けを背にしたレイチェルが、今日はお供を付けずに立っていた。


「何だよ、勘弁しろよ。今日はテメェに関わってる暇はねぇんだよ」

「あら、しぶとさに掛けてはゴキブリ並みの分際で、良い度胸ね。私がお茶に誘ってあげようというのに」

「お茶だぁ?」


 いかにも胡散臭そうに顔をしかめるラグナに、レイチェルはいつもと変わらぬ、つんとすました高飛車口調だ。


「ええ。この私が直々にお茶を入れてあげようというのよ。ほら」


 いつの間にか、レイチェルの手には、飴色のお茶を湛えた陶磁器のティーカップがあった。


「早ぇな!」

「嫌だわ。そんなありきたりな突っ込みをされたら、私まですべったみたいじゃない」

「うるせぇ! だいたい、そんな怪しげなもんが飲めるかっつの!」


 ラグナはついと顔を背けた。
 レイチェル絡みで良いことがあった試しがない。
 にゃんにゃんの呪いの時など、本気で一生このままかと泣きそうになったものだ。
 今回も、何を考えているか分かったもんじゃない。


 警戒心むき出しのラグナに、レイチェルは珍しくしおらしげに顔を伏せた。


「あなたが私を警戒するのは、仕方のないことだわ」


 神妙な様子のレイチェルに、普段と違う雰囲気を感じたラグナは、思わずたじろぐ。
 そんなラグナの様子を知ってかどうか、レイチェルはかまわず続ける。


「でもね、ラグナ。本当に私はお茶をご馳走したいだけなのよ。それは信じてほしいの」


 目の前には、しおらしい様子のレイチェル。
 その彼女が差しだす謎の液体。


「ぐっ…!」


 ラグナはしばし葛藤していたが、どうやら答えが出たようだ。
 最も答えは最初から出ていた。
 正確に言えば、覚悟が決まった、ということだろう。


「わーったよ! 飲めば良いんだろ! 飲めば!」


 ラグナはひったくるように、カップを奪い取った。
 そして、一気に中身をあおる。
 意外にも、それは本当に、ただの紅茶だった。


「どう? 美味しかった?」

「あ、ああ。多分…」

「ふふっ。なら良かったわ」


 レイチェルの満足気な笑みが聞こえたときだ。


「!!?」


 ラグナの体に突如異変が起きた。
 視界が真っ白になり、一気に体から力が抜けていく。


「な…?」

「あら、早速効いていたわね」


 先ほどのしおらしさはどこへやら。
 いつもの高飛車口調に戻ったレイチェルは、今にも倒れそうなラグナを見て、満足そうに微笑んだ。


「ウサギ…テメ…」


 騙したな、という言葉は続かなかった。
 がくりと膝をつき、前のめりに倒れる。
 そのまま意識を失ってしまう。


「おやすみなさい、ラグナ」


 ラグナを抱き留めたレイチェルは、そのまま彼を連れて、その場から消え去った。

 

 * * * * * * * * * *

 

 むせ返るような薔薇の香りが、一帯を覆っている。
 薔薇の庭園の東屋に、レイチェルはゆったりと座っていた。
 その膝の上には、意識を失ったラグナの頭が載せられている。


「本当に、単純なお馬鹿さん」


 そっと白い髪の毛を撫でる彼女は、言葉とは裏腹に、慈愛に満ちた眼差しをしている。
 それはいつもの彼女とも、わざとしおらしい演技をしていた彼女とも違う。
 ただ、ラグナへの慈しみの気持ちが表れていた。


「そんなだから、誕生日に襲撃に合うのよ」


 もっと彼が要領良ければ。
 もっと彼に運があれば。
 きっと、もう少しましな誕生日を過ごせていたはずだ。


「それともあなたは、自分の誕生日も忘れた、本物の愚鈍なのかしら」


 その時、膝のうえのラグナが、短くうめくような声を上げた。
 まるで、「うるせーぞ、ウサギ」とでも訴えているようで、レイチェルは笑みをこぼしてしまった。


「全く、救えないわね。あなたも、そして、私も」


 レイチェルはラグナの耳元に唇を寄せ、聞こえていないことを承知で優しく囁く。


「せめて誕生日くらい、普段のしがらみから抜けて、ゆっくり休みなさい。その時間を、私が作ってあげるから。この時だけは、私はあなたの物よ」


 薔薇の香りを含んだ穏やかな風が、彼女の呟きをどこかへ連れ去っていく。
 レイチェルは身を起こし、再びラグナの頭を撫で始めた。


 外界から隔離されたこの場所で、穏やかに、ゆっくりと時が刻まれていった。
 

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